
今回は、移行中のトランスにこそオススメしたい旅のススメ。トランスだからといって我慢しない旅をご提案シリーズの番外編。
場所は、日本一長い路線バスの最後の休憩場所でもある十津川村からお届けする。
1週間に2本しかバスが来ない場所なんて本当にあるの?
事実、ある。
それは、十津川バスセンターから奥果無を結ぶローカル路線バスなのだが、毎週月曜日の午前と正午くらいに2往復だけするという。
奥果無は、十津川村から南に本宮との間にある山上にあるバス停だ。
その途中には、果無集落や果無峠の登山口など、見どころ満載。
今回、この週の最終バスを見事に見逃した月曜日の正午過ぎ。
途中にある山上の楽園と呼ばれる果無集落を、泣く泣く徒歩で目指した。
果無集落は、本当に楽園なのか?
十津川で教えてくださった現地の方がいうところによると、たまに癒されに山の上にある果無集落に行き、ピクニックのような感じでお弁当を食べたり、景色や雰囲気に癒されに行くのだとか。
また、高野山から本宮大社までを繋ぐ熊野古道小辺路の途中でもあり、この十津川から本宮大社を目指して多くの方が、休憩に立ち寄り、ここで癒されて先にある峠に向かうのだそうだ。
正直、私自身たどり着いてみるまで半信半疑だった。
中辺路の発心門王子から熊野本宮大社までの山道に比べて、全然比べものにならないくらい急で激しい傾斜かつ陽の光も遮られ薄暗く山深い小辺路を歩く中で、こんなところに本当に楽園なんてあるのかなんて、思いませず全く期待もせず楽園を目指した。
それでは、果無集落が本当に楽園なのかを以下でご紹介させていただきたい。
果無集落を目指してみよう


十津川村の方もたまに癒されに訪れる場所だそうだ。

















果無集落は本当に楽園だった
実際に訪れてみて、集落まで続く長く険しい山道を歩いているときは、不安しかなかったが、実際に集落を歩いてみて感じたのは、なんか「やっと帰ってきたんだ。」という懐かしさだった。
刈られた後の稲、軒先に吊り下げられた干し柿、ため水の中で優雅に泳ぐ巨大な鯉。
どの一つ一つをとっても、普段便利な中で生きる自分たちの世界とはかけ離れた世界が眼前に広がる。
聞こえる音は風に靡く草木の音、遠くで囀る鳥の声。
普段の生活の中で忘れかけている何か大切なものを、取り戻せるかのようなそんな場所だった。
おそらく、辿り着くまでの長く険しい小辺路の山道とのギャップがそれをさらに思わせるからなのかもしれない。
なので、きついかもしれないけど、しっかり準備をして、あえて迂回路ではなく、バスでもなく、小辺路を登って果無集落を訪れてほしい。
移行中のトランスだからって温泉を諦めなくてもいい
移行中のトランス時代には、無意識の中でも温泉は諦めていた。
当時、旅とか温泉にそこまで興味が、おそらく必然的に向かなかったのも、原因であるかとも思うのだが、とにかくお風呂的な物には自分から自発的に近づかないようにはしていた。
ニューハーフ仲間と一緒にどこかにでかけると言った時くらいじゃなかっただろうか。
自分がこんなのだから、人に迷惑をかけないように我慢しなくてはならない。
こんな生き方を選んだのは自分だ。トイレやお風呂が自由に使えなくなるのは、自己責任だ。
確かにその通りなんだけど、これまで通りではないにせよ、以前よりかは誰でも使えるトイレとか、足湯とか、移行中であれ誰にも迷惑なんてかけることなく、移動や温泉を楽しめる環境は整ってきている。
自分の気持ちだけで、突っ走って誰かを傷つけてはならない。
しかし、自分たちにもできる範囲で、楽しみを追求することを我慢しなければならない決まりなんてない。
これからも、移行中のトランスでも楽しめるスポットを探しては、発信していきたいと思う。
さて、この十津川村にある十津川温泉は日本名湯百選に選ばれたハイレベルな温泉で、残念ながら貸切などは日帰りでは利用できないが、足湯は大変充実している。
十津川バスセンター周辺だけでも、徒歩圏内に3つもあるので、日本一長い路線バスでの10分間の休憩時にでも、また別途十津川村を訪れた際にも、可能な限り巡ってみてもらいたい場所である。
十津川バスセンター周辺の足湯
- 十津川バスセンター内(温度はかなり高め。一気に身体全体が温もる。)
- 庵の湯(十津川バスセンターの道挟んで向かい。景色が抜群。温度高め。)
- 地域交流センターいこら(温度はぬるめ。手湯と飲泉がある)




移行中のトランスでも旅しやすい十津川村

山間の名所ならではのグルメを楽しもう



十津川温泉へのアクセス



さいごに
トランスだからといって、トイレにしても、お風呂にしても、ネガティブな方向に考えてしまうタネになってしまうのだけれども、私個人としては、トイレに関しては、周りからの見た目にとって相応しい方、そしてお風呂は少なくとも身体を変えてからという考えを持っています。
それは、周りとのトラブルを避けるためです。
最初に述べたように、周りの気持ちを汲むためというのももちろん、自分自身の安全と気持ちを守るためです。
気持ちだけで突っ走りたくなる気持ちもわかりますが、その気持ちを現状可能な形で満たせるようにと、今後もこのような取材と発信を続けていきたいと考えています。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。