
朝昼夕晩と空の光に合わせて、色を鮮やかに変える棚田が、中国の西の果て雲南省の“元陽県”にあります。
雲南省の玄関口省都「昆明」から、昆明南バスターミナルから元陽新街行きのバスで、直通バスを利用すれば、7時間程度でたどり着くことができます。
北にチベット、西にミャンマー、南にラオスとベトナムという立地にある雲南省には、数多くの少数民族が生活しています。
ハニ族と呼ばれる少数民族によって築かれた棚田群は、1.6ヘクタール。東京ドーム3500個分相当の広さで、最も激しい傾斜の部分で75度という場所に5000段というもあるといわれるこの棚田は「雲の梯子」とも呼ばれています。
現在、元陽などに暮らすハニ族ですが、4世紀以降に戦争から逃れるため、日本列島までやってきたという説もあり、大豆を使ったみそや納豆の発酵食品を食べることとアニミズムの進行など、日本との共通点も多いとされているそうです。
また、タイやミャンマータイにも移住している彼らのうち、ラオスでは彼らの村の入り口には日本最古の鳥居と似ている門があり、さらに魔よけの役割を果たすということから、日本のそれと役割として一致しているともいわれています。
集落内には、もちろんコンビニエンスストア―やスーパーマーケットのようなものはなく、小さな商店と観光客用にゲストハウスが数件あるだけで、集落本来の姿をそのままに何もかもがそろって当たり前の場所から来た人からすれば、とんでもない田舎に来てしまったものだと天を仰ぐのか、普段の生活ではなかなか見ることのできない田舎の静寂に、心からいやされるのかどちらかになることでしょう。
何でもそろって当たり前、ちょっとの不便をものすごい不便と感じてしまう私たちですが、本来そんな便利などなくても生きていく力は十分にあるもの。
集落の中を走り回って、木の棒で虫を捕まえたり、商店に近所の子供たちでお菓子を買いに来ていたり、集落の子供たちは元気いっぱいに遊んでいました。
公園で友達とかけっこしたり、かくれんぼしたり、おなかがすいたら駄菓子屋さんにお小遣いを握りしめて駄菓子屋さんにお菓子を買いに行ったり、自分が子供の頃に過ごしたひと時を、精一杯に遊ぶ彼らを見てふと懐かしく感じました。
世界各国から棚田を見るためにやってくる元陽、お世話になったゲストハウスでは宿泊客みんな同じ食堂で食事をするのですが、国も年齢も皆それぞれに違うはずなのに、不思議と棚田見物や集落の街歩きなどの共通の話題からすぐに話が弾んで、一気に距離が縮まる不思議。
自分の住む国とは違う国の大きな銀行のえらいさんであったり、教育機関で教職に就く人など、普通に生活しているとまず会うことなんてないだろう人たちと、上下役割一切関係なく同じ立場で話すことができるのです。
旅という魔法が、そうさせてくれるのかもしれないと考えると、旅って本当に面白いなと思います。
また、ホテルよりも距離感の近いゲストハウスだからこそ、そうさせてくれるのかもしれません。
旅というのは、魔法のようなものなのでしょうか。旅の面白さって、観光地を回ったりおいしいものを食べたりするだけではなく、こういう人と人との距離感の縮まりにこそあるのではないかとも思います。





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